2014年8月22日金曜日

ベトナムを食す

ベトナムといえば、タイと並んで東南アジアの美食の聖地。
とにかく何を口にしても美味しいし、味のバリエーションが多い(←これ大事。美味しくてもワンパターンだとどうしても飽きちゃう)、そしてヘルシー。

ベトナム料理と言ったときに、まず位の一番に紹介したいのが、
その野菜の多さ。
ベトナム人は本当によく緑を食べる。
どこの店で何をたべても大抵こんもりと葉菜がもられ、
そのよこにさらにお代わり用がザル一山 分ついてくる。
それが、もはや野菜というか、”葉っぱ”なのである。
ルッコラというレベルではない。あれが枝葉を成しているのが何種類も雑多にもられて来る。



しかし、これが美味しいのだ。
自分が何を食べてるのかよくわからない。
口いっぱいに葉っぱむしゃむしゃと食べているとキリンのような気分になってくるのだが、
それでも、期待は心地よく裏切られる。
”葉っぱ”ってこんなに食べやすいものなのか。
ベトナム料理を食べていると、日本は食用葉菜の選び取り方において、保守的なのではないかと思えてくる。

ちなみにこの得体のしれない葉っぱのザル盛り、今回聞いたところ、
ドクダミとバナナの花が入ってることは突き止められた。
その他コリアンダー、ミントは識別できたのだけど、それでもその他6種ほどは毎回チームに入ってる。帰国後調べたら、ベトナムでよく食されるハーブのまとめも発見。

ベトナム香草辞典


その多さに改めて驚く。
今度庭のドクダミもダメもとで食べてみようかな。

香草の種類の多さはいわずもがなだが、ベトナムは全体として食文化がとても豊かだ。

使っている具材がとても多彩で、調理法も様々。生野菜もよく食べるので、バラエティーが豊富だ。
ここで滞在中の食事の一部を紹介


バインミー。フランスから伝来したバゲットにひき肉とレバーでつくったパテと葉っぱを挟んだサンド。
中身はミートボールだったり、瓜だったりバラエティがある。
これはホームステイ先の友人のお姉さんがパテから自家製でつくってくれた。
これにハマりすぎて、朝ご飯はもっぱらバインミーだった。



定番の春巻き。これも友人宅で手作り。
ひき肉に香草人参などなど。
本場式は皮がとてもうすい。油も中華鍋にヒタヒタではなくて、フライパンにごく薄くひいて揚げる。


お姉さんをお手伝いしながらつくった、おうちご飯。
手前の薄出汁にゆでたビーフンを各々が食べる素麺式(次の写真参照)
右手は空芯菜。タイでたべるパックブン・ファイデーンとちがって油はすくなめで辛くない。
中央に見えるミョウガみたいなのがバナナの花





Lau ca keo
串焼き魚鍋。南の名物らしい。

シシャモみたいな串焼き魚がたくさんでてきて、
これを香草と鍋に通してたべる。これにもセルフ・ビーフンを加える。
焼いてから鍋にいれるっていうのが、新しいと思ったけど、
きりたんぽみたいな感覚なのかな。
魚と香草なので、とってもヘルシーで美味しい。


ベトナムのデザートといえば、これ。
チェー。ベトナム風ぜんざい。
ココナッツミルクと餡に浸した、緑豆や寒天が大好き。
東南アジアはデザートより生もフルーツの方がおいしいと思うことが多いけれど、これは大好物。


定番。生春巻き。
本場は皮がクタクタになってなくて、結構固めだった。
乾きものを戻すのではなく、生で作っているからかな。
この店は、生春巻き巻き放題店みたいなところで、私たちはサイドメニューのうどんをたべていたのだけど、横では皿いっぱいにもられた皮と具材をせっせと巻くご家族がたくさんいた。
手巻き寿司やサムギョプサルのよう。

生春巻きはとても南らしい料理らしい。
北出身の友人は、巻き放題のこの店も、「なんでも巻きたがる南の人らしい」と言っていた。


ホイアンで立ち寄った屋台。
とても個人的な見解だが、ベトナムは屋台の安心度が高いと思う。
一番の理由は生野菜文化があるので、水の処理がきちんとしていること。
濁った怪しげな水をおいたバケツや、やや不透明な氷がないし、
あと気候のせいなのか、ハエがたかっているということもあまりないし、
とても清潔感のある屋台が多い。
これは、手前が米麺炒め(おそらくタイ料理のパッタイみたいな味)、左が空芯菜。


ベトナムは地方色が豊かなのもよい。
これは、ホイアン名物 Kau lau。汁無しラーメンみたいなのだけど、
麺が一度軽く焼いてあるのか、歯ごたえがあっておいしい。


フエ名物のBun Bo Hue。地方の名物だけど、全国その他の場所でも食べれるほど定番。
辛めのスープとたっぷり入った香草がおいしい。


そして、大本命のフォー。
地元では朝ご飯に食べる人も多いらしい(タイのおかゆみたいな感覚か)
私も友人に連れられ、朝から食べに出かける。

私の北の友人たちは出かける前から口をそろえて「南のフォーはフォーじゃないから。絶対に北のを食べて」というので、フォーはハノイまでとっておいた。
ベトナムは南北で文化の違いを語ることが多いとは先の投稿ですでに書いたが、
食文化も例に漏れない。
南は甘い味付けが多いらしく、北の人からすると、「あんな甘い汁は別物だ」ということらしい。
四国の餡子をいれるお雑煮に「え?!」と驚く感覚と似ているのかな。
(ちなみに日本のベトナム料理屋は南が多いらしい)

私は今まで南風のフォーしか食べたことがなかったけど、
なるほど、確かにこっちのほうがすっきり飲みやすい気がする。



ハノイ名物 Bun cha。
北の人なら誰に聞いてもこれを食べてこいという。
これはベトナム風つけ麺で、
香草、ビーフン、ミートボールをつけ汁につけて食べる。
つけ汁は左端手前の澄んだ汁。
日本のつけ麺から想像するコッテリ系ではなく、甘くてうすーい酢だしみたいなもの。
付け合せはやっぱり春巻き。
このお店は1960年ごろからやっているらしく、ハノイ一だそう。





ベトナムの食文化で、はじめて訪れたときにもう一点とてもびっくりしたのは、
コーヒーが大衆文化としてなじんでいるということ。
フランス文化から継承されたコーヒー/カフェ文化は根強く、道に出るとどの時間もこんな具合に
屋台式でコーヒーを飲んでいる人がいる。
これは、他の東南アジアに比べてとても特異な光景だと思う。
タイやフィリピンやインドネシアでは道端でコーラを飲んでいる人はいても、エスプレッソをすすっている人はまずいない。
友達とすこし話にでかけたいなというときも「コーヒー飲みに行こう!」っという言い方をするらしく、
これも、On va faire un café? というフランス的な言い回し。

旅行から帰ると大抵、いつもより重い食事ばかりで、
胃もたれ気味なのだけど、
香草もたくさん食べて、汗もたくさんかいたベトナム旅行はなんだかデトックスされた気分です。


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