お茶をゆっくり飲みながら、アルバムを一枚聴いたような鑑了感のある映画だ。
ドラマの中のドラマを劇中劇というならば、この作品は歌中歌だ。
曲を聞かせながら、アーティストが曲をつくる過程をなぞるようにして奏でている。
だから劇中歌はただの劇中歌ではない。登場人物が自ら喉を震わせて歌っており、彼らのその時の心情を旋律に乗せている。だから、予期せぬタイミングで、不意に涙を流しそうになる。辛くて、悲しくて、笑みをほころばせるような心情描写が耳にそっと吹かれるから。Onceと同じプロデューサーというのは耳をしてもすぐにピンとくるが、舞台がダブリンからニューヨークに移ったからだろうか、より救われる、清涼感のある人間関係を描いている。
ドラマの中のドラマを劇中劇というならば、この作品は歌中歌だ。
曲を聞かせながら、アーティストが曲をつくる過程をなぞるようにして奏でている。
だから劇中歌はただの劇中歌ではない。登場人物が自ら喉を震わせて歌っており、彼らのその時の心情を旋律に乗せている。だから、予期せぬタイミングで、不意に涙を流しそうになる。辛くて、悲しくて、笑みをほころばせるような心情描写が耳にそっと吹かれるから。Onceと同じプロデューサーというのは耳をしてもすぐにピンとくるが、舞台がダブリンからニューヨークに移ったからだろうか、より救われる、清涼感のある人間関係を描いている。
音に対するこだわりは、画のシンプルさからもうかがえる。曲は全てプレ・レコーディングで録ったものかぶせており、雑味を絶っている。ボーイフレンド役の新人アーティストはMaroon5のボーカル、Adam Levineをつかう徹底ぷりだ。ビジュアルな刺激を極力控え、耳で魅せている。また、高貴な役に定評があるキイラ・ナイトレイにどこにでもいそうな健康的な衣装をまとわせるところが逆に贅沢さを感じるのもビジュアルなシンプリシティーの特典だ。
泣きながら少し笑って、自転車で走りたくなる、そんな映画。
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